【その9】悩める末次女王
末次が悩んでいる。ひとつのメモをみつめて悩んでいる。
珍しいことだ。そんな様子にいち早く気づいた演出 加藤。
加藤/どうしたんか、何を悩んでるの。
末次/うーん・・・
村山/具合が悪い?
末次/いやそんなんじゃなくて・・うーん・・・。
−−メモを覗くと、書いては消し書いては消ししてある弁当の買出し表が・・・
末次/・・唐揚げか、焼き飯か、南蛮もいいし。
−−そう。悩んでいたのは「弁当を何にするか」だったのだ。
   その日は昼練習で、夕食の買出しに行くのに、誰が何って書くメモが回っていたの。
加藤/なんか、セリフで悩んでるんじゃないんか!
−−さすが末次女王でございます。
【その8】バレちゃあしょうがねぇ
加藤/ストップ。村山ー、なんか頭で考えながら言ってる?
村山/ええっ?・・・
赤松/頭で台本めくってるってか。
加藤/まぁ、重要なセリフだし、まだ覚えてないかもしれないが、感情が入らないと
    セリフが死ぬっちゃね。
−−ということでもう一回と、みんなが位置についた時、ボソッと言った一言を聞き逃
   さなかった
村山/バレちゃあしょうがねぇ。
全員/当たりやったんかいー。
中須賀/それって俺のセリフやんかー!
赤松/しかも、なんで中途半端な江戸っ子なん?
【その7】カ、カップル??
演出がMDウォークマンで音を聞きながら、シーンのイメージと合うか聞いていた。
加藤/よし、これだ。 じゃあ中須賀、これおとしてきてくれる?
中須賀/了解。
加藤/ちょっと聞いてみて。2曲めのここから。
−−とイヤホンを片耳ずつあてて聞いている。
加藤/それで、このジャーンに合わせてほしいんよね。ちょっと動いてみて。
−−とその状態で位置について動きを確認している。
中須賀/まさかこんな状態で音が入ることになるとは。
加藤/本当。
赤松/変なカップルがいるぞ。
中須賀/(音を聞いて)おお、カッコいい。
村山/全然わからーん。
−−そう、まさに二人の世界でしかわからないのだ。そして、音響にも説明するのに、
   渡邉と富田も片方ずつイヤホンをして、うなづいているのだ。 音響席にも変な
   カップルができていた。
【その6】スッと流してくれー
「邪馬台国が〜」というセリフがあって、「邪魔に〜」というセリフがあった。
赤松/・・・ジャマタイコクが、邪馬台国が〜
全員/クスクスクス。
加藤/ストップ。今なんて言った?
全員/ジャマタイコクー。
赤松/邪魔と一緒になったんだよー。
中須賀/サポ通行きだねー。
赤松/くそー、ちゃんと言い直したんだから、スッと流してくれればいいものを。
村山/そうはいかんやろ。
はい、一足早くHPに乗せましたよ。
何かあると、「サポ通ネタや」となる稽古場。まるでドラマでいうところのNG大賞のようになっている。また、載せきれないほどのネタがある稽古場ってどうなん?
【その5】・・汗っかきとの共演って・・・
今回のキャストの汗っかきベスト1は中須賀。(前回に引き続きなんだけどね)
その中須賀を抱きかかえてつれていくというシーンがある。
前回中須賀の腕を持つのも嫌だった加藤なのに、演出になると強気だ。
加藤/いいやろ、男だし。ちょっとやってみて。
−−中須賀の後ろから手を回す松橋。もちろん中須賀は汗でぐっしょり。
村山/手が緊張してるよ。
松橋/ああ、何故か手にチカラが入らないーー!
赤松/体がいやがってる。
村山/そうやろ、腕でも嫌だったもん。
加藤/前回なー。
赤松/と言いながらもやれと。
加藤/俺じゃないもん。もあるけど、シーン的につれていってほしいのよ。
松橋/よし、やろう。
−−再び手を回す。ベチョッて音が聞こえるようだ。
   松橋のTシャツの色が変わってるー。
赤松/本番もっと汗かいてるよねー。
中須賀/汗は自分で調節できないんだよーー!
【その4】・・・・出た、末次女王
−−全員が出ているシーンの稽古中。ダメ出しで稽古が止まり、もう一度、と
   みんなが位置について演出の掛け声を待っている時だった。その場のテ
   ンションにみんな集中していたまさにその時。
加藤/いくよー、よーい。
末次/ハクション!
−−全員崩れ落ちる。
加藤/それは、「アクション」なんか「ハクション」なんかー。
松橋/もう、せっかくセリフ覚えてたのに、わからんくなったー。
−−張り詰めた緊張の糸が切れると共に、セリフも流れ出してしまったらしい。
中須賀/何て絶妙な。
−−「これはHPに載せないといけないでしょう」とのみんなの意見。
   はい、載せてまっせ。
【その3】・・・・やっぱり、末次女王
イザナミのセリフで「大王のみしるしを」というセリフがある。それが末次女王にかかると
末次/・・・・大名のみしるしを・・・
加藤/ストップ。今、「大名」って言わなかった?
末次/えっ?そんなこと言いました?
全員/言ったー!
村山/もう、笑ってしまうやんかー。
中須賀/大名って時代劇じゃないんだから。
赤松/下〜ぁに下〜ぁに・・・・か?物語が変わっていく。
末次/台本離そうとしたのがいけんかった。
加藤/そういう問題か?
村山/にしても、なんで「大名」なん。
赤松/間違うにもほどがある。
−−その後そのシーンにくるたびに、みんなの頭にピョコッとチョンマゲ姿がよぎるように      なったのは言うまでもない。忘れるまでつらいのよねぇ。
【その2】・・・・さすが、末次女王
−−末次・松橋・中須賀の3人のシーンの稽古中。中須賀の動きに対して2人が反応するの
   に末次の反応が弱いのを見て、演出加藤がポロッと言った一言に始まる。
加藤/しょうがないか、末次は芸暦短いからね。
−−そして中須賀の動きにもダメ出しをしたりして、じゃもう1回いこうかと立ち位置についた
   のだが、位置に着いた末次の肩が揺れている。
中須賀/何笑ってんだよぉ。
末次/芸暦って・・・・
全員/はあ?
赤松/なんで、今ごろ。
加藤/ウケとるんかボケとるんかわからん。
−−鼻を真っ赤にして笑っている末次。
全員/ウケとるんやー!
末次/だって〜
−−こみあげてきて、だんだんハマる末次。我慢していた糸が切れて止まらなくなってきた。
加藤/休憩ー。稽古にならん。
−−と、休憩になりました。末次は笑いが鼻に出ることも判明。・・・不思議な奴だ。
【その1】・・・・まさに、末次女王
イザナミのセリフに「このタワケが!」とつっこみゼリフがある。
末次/神様が「タワケ」って言いますか?
全員/・・・・・
−−パタッ・・・・・・加藤が台本を落とした。
加藤/そんなこと言ったら、この本、全否定じゃないかー!
中須賀/全。
全員/否定・・・・。
加藤/言わねぇよ、神様なんだから。でも、それじゃ芝居にならないだろう。
−−確かに新波の芝居にはならないです。というかそのセリフまでにもチャカしたセリフ言って
   るのに、なんでそこだけこだわるの?って感じにみんな唖然としていた。
末次/違うんですよー。私の言い方が悪かった?っていうか語尾?
−−その次に「・・・なのじゃ」と言うセリフがある。
加藤/語尾がいいにくいってか。
末次/「じゃ」ってなんかつっこみにくくて。
加藤/何だったら言い易いの?
末次/えーーっとー・・・・・・「・・・なのです」も変だし・・・やっぱり「じゃ」
−−全員、ガクーン。全否定までしながら、元どおりなんかいー!
   と、末次に翻弄された1日でした。
  第23回公演「二千年女王」稽古場レポート!
「二千年女王」の稽古場でもいろいろなことがありました。
もうひとつ台本ができそうなくらい、ネタの宝庫の稽古場。本番に向かって、楽しく、厳しく稽古をしている軌跡です。こちらもお楽しみあれ。